陽咲菜さんと服の話

陽咲菜(ひさな)さん(頭蓋縫合早期癒合症、ファイファー症候群、難治性てんかん、重度知的障害、9才女子)のお母様に、服の工夫・悩み・おすすめ・こだわりについて聞きました。

質問：あなたの基本情報を教えてください

頭蓋縫合早期癒合症、ファイファー症候群、難治性てんかん、重度知的障害で、ほぼ寝たきりです。

身長は110cmで、通常選ぶ服のサイズはトップス140、ボトムス140、シューズ17cmです。

服の着脱は全介助です。

質問：陽咲菜さんのための服作りについて、教えてください

基本的に娘が着ているお洋服は私のハンドメイドになります。ハンドメイドは、娘が生まれて必要になって始めました。

生地は綿の肌触りのいいものを使うことが多いです。

病気の特性として肘の癒合があり真っ直ぐに伸びないので、お洋服は腕を通しやすい脇の部分が広い型紙を使うことが多いです。

頭蓋骨の手術も何度かしていて頭囲が大きいので、頭を通しやすいよう、後ろゴムの物や前開きやニットのお洋服を作ることが多いです。

質問：お気に入りのトップスアイテムと、その理由を教えてください

最近のお気に入りは後ろ姿がかわいい、このトレーナーです。

車椅子に乗ってしまうので見えなくなるのですが、降りて座ったときに後ろ姿がわかって、みんな「こうなっているの？かわいい！」と言ってくれます。かわいいって言われると嬉しい娘にはぴったりなお洋服です(笑)

質問：アウターの着こなしの工夫を教えてください

アウターはポンチョを作ったのですが、車椅子に乗っているときに脱ぎ着させるのが大変だなと思い、後ろ前を逆にしてみたらとても便利に。
車椅子に座っているので背中は寒くないし、スナップボタンで簡単に後ろは止められるので楽ちんです。

質問：お気に入りのボトムスアイテムと、その理由を教えてください

パンツもハンドメイドが多いのですが、買うとしたらユニクロのレギンスやストレッチパンツが多いです。
おむつがあるのでお尻周りがタイトなものだとキツくなるので少しゆとりのあるものを選ぶか、生地の伸縮が強いものを選びます。

質問：お気に入りのシューズと、はきこなしの工夫を教えてください

靴は履かせても脱いでしまうことが多いのですが、スクールバスに乗る時には靴が必要だと言われたので、作りました。

ルームシューズですが、足首のところにゴムを入れて自力では脱げないように作っています。冬は内側の布地をフリースに、夏は内側の布地をメッシュにして、季節で生地も変えています。

質問：お気に入りのインナーと、その理由を教えてください

インナーはユニクロです。伸びがよく着せやすく、脱ぎやすいので、エアリズムやヒートテックを着せています。

質問：もう１つ、お気に入りのアイテムを教えてください

娘は鼻や顔が痒くなると出血するほどいじってしまうので、手袋がマストアイテムです。冬にはスキー用の手袋をしています。

これはファスナーで全開に開けられて、マジックテープで手首の部分を締められるので自分で取ってしまうこともなくとても便利です。

質問：服に関することで、何か要望や願望はありますか

「障害があっても着せやすくて可愛いものを」と思い、服を選んでいます。

自分で作るときも、「うちの娘はこの部分をゴムにしたほうがいいな」など考えながら、アレンジしたり作ったりしています。

細かいニーズを叶えられるようなお洋服はお値段も高く、時間もかかります。それでも、「障害があっても着せやすくて可愛いものを」という思いに応えてくれるお店が、もっと増えてくれたらいいなと思っています。

質問：最後に、読者の方にメッセージをお願いします

私は、Instagramやネットショップでハンドメイドのオーダーや販売をしています。

まだ始めたばかりで、売り切れていたりオーダーストップになることも多くご迷惑おかけしておりますが、リピーターさんになっていただけたり、こんなものが欲しいとリクエストをいただけるようになってきて、とてもうれしく思っています。沢山経験して、もっとみなさんのリクエストに答えられるようになりたいと日々模索してます。

例えば、胃瘻のカバーも、日々のケアをするお母様方がテンションあがるような可愛いものを。