bikkoさんと服の話

bikkoさん(上肢障害、30代女性)に、服の工夫・悩み・おすすめ・こだわりについて聞きました。

2020年10月取材

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質問:あなたの基本情報を教えてください

年齢は30代、性別は女性、身長158cm、普段の着用サイズはトップス・ボトムスともにSもしくはXS、またはキッズサイズ150~160、シューズのサイズは23.0cmもしくはMサイズです。

上肢障害があり、左腕上腕骨が一部筋力が弱く、左腕は右腕より短くなっています。日常生活に大きな支障はないが、上に上げたり重い物を持つのに難点があります。

服の着脱については、後ろボタンがある服で手が届かない時にボタン留めを家族にお願いすることはあるが、それ以外は特に難なく着脱可能です。 

※bikkoさんは上肢障害のため、今回はボトムスとシューズの紹介はありません

質問:お気に入りのトップスアイテムと、その理由を教えてください

着用サイズ ガールズサイズ150

しまむらのスウェットプルオーバーがお気に入りです。

袖にクシュッとギャザーが入ったスウェットで、腕が動かしやすいうえに、自分の好きな袖の長さに調節できるため、私のような腕の長さが違う体型をカバーしてくれます。

質問:お気に入りのトップスアイテムと、その理由を教えてください

着用サイズ Mサイズ

しまむらのマウンテンパーカーがお気に入りです。

腕だけでなく、全体的に上半身の体型カバーにもなるゆったりとした形と細身に見える色の入ったデザインで、障害の有る無しに関わらず、色んな方にオススメしたいアイテムです。

質問:お気に入りのバッグと、その理由を教えてください

柄は101匹わんちゃんのクルエラ

ディズニー・ヴィランズのお財布ショルダーがお気に入りです。

このブランドに限らず最近出てきた、ショルダーバッグとお財布が一体化した「お財布ショルダー」というバッグは、荷物をコンパクトにできて軽量なので、荷物に負担を感じるハンデを持つ方々にとてもオススメです。私はダルメシアン柄に惹かれて購入しましたが、柄物やカラーのハッキリしたコンパクトサイズのバッグは、コーデのワンポイントになります。

質問:お気に入りのインナーと、その理由を教えてください

しまむらのファイバーヒートがお気に入りです。

あったかインナーというとユニクロのヒートテックが人気ですが、私にはヒートテックよりも、しまむらのファイバーヒートの方が暖かいと感じるので、こちらをオススメしたいです。

私の場合は、身体が冷える真冬は、脂肪がつきにくくて骨の一部が溶けた左腕は右腕より血の巡りが悪く代謝も良くないので、それが痺れや痛みなどの原因となります。低価格でコスパの高いあったかインナー選びは、私のようにハンデのある人には非常に重要だと思っています。

質問:もう1つ、お気に入りのアイテムを教えてください

ちょっとファッションとは違うかな?とも思ったのですが、私のように上半身や腕や手が不自由な、これからのパパさんママさん世代へぜひオススメしたいなと思ったアイテムとして、ベビービョルンというスウェーデンのベビー用品ブランドの抱っこ紐を紹介します。

私が抱っこ紐を使っていたのはもう4~8年前のため、今はまた違うのかもしれませんが、当時はエルゴやアップリカの抱っこ紐や、スリングが人気でした。私は子供の頃に左腕が不自由でランドセルも背負えなかったほど、左肩の長さが短いため、肩幅が厚くて大きいエルゴは痛くて使えませんでした。

その時に私と同じように腕が不自由(その方は肩から先が欠損していました)だった先輩ママさんが良いと教えてくれたベビービョルンの抱っこ紐です。この抱っこ紐は片腕で赤ちゃんを支える必要がなく、寝かせたまま装着できるので、とても助かりました。海外ブランドなのでデニムタイプなどファッション性も最近取り入れているようで、育児グッズ以外にもママファッションとしてたくさんのオススメなアイテムがあるブランドです。

質問:店舗で服を買物する際の工夫を教えてください

やはり後ろボタンがあるものなど、腕が届かなくて1人で着脱できない服は敬遠します。試着室に1人でも自分だけですぐ簡単に脱ぎ着できる服装で行っています。

質問:通販で服を買物する際の工夫を教えてください

サイズや着た感じを見たいので、洋服はあまりネットでは購入しないのですが、バッグやアクセサリーなどは品質、質感、色、大きさなど、失敗しないように納得いくまで確認しています。

質問:服やファッションの情報をどのように収集していますか

自分に似合うものかどうかは、やはり実際に着てみたり身につけてみないと解らないため、似合う服の情報をネットに頼ることはあまりしません。ただ、ファッションの情報(トレンドやアイテムの相場など)は、LINEニュースやInstagramで仕入れています。

WEARも自分のコーデの記録用として、またオシャレが好きな仲間との交流の場として活用していますが、ランキングにある人気コーデはトレンドに偏り過ぎているため、トレンドをあまり気にせず個性を重視するタイプの私はあまり参考にしていなかったりします。WEARはランキングよりタイムラインから見た方が、皆さんそれぞれ個性が見られて楽しいですよ♪

質問:服に関することで、何か要望や願望はありますか

世の中もバリアフリーになってきているので、身につけるものもバリアフリーになっていって欲しいですね。しかも障害者に限ったものではなく、お年寄りや妊婦さん、小さな子連れ親子など、洋服を手に入れたり身につけたりするのに不自由を感じる全ての人にとって、バリアフリーになっていって欲しいと思います。

また、確かどこかのブランドで、自分の全身を写真に写して着せ替え人形みたいに洋服をいくつも替えて着せたりすることを、ゲームみたいなバーチャル空間でできるようになったと聞いたことがあるのですが、そういうことによって、服を買いに行くことが難しい人がネットショッピングをより自分に納得がいく形にできるのではないかと思いますし、そういう便利なものがどんどん世の中に普及していくといいなと思います。

また、WEARやInstagramをやり始めてずっと感じていることなのですが、本当に服が好きで着ている人がたくさん居る一方で、トレンドに流され過ぎている人や、人気インフルエンサーになってブランドコンセプトに縛られ過ぎてしまい、服への愛着が伝わってこない人がたくさん居ることを感じています。そうではなく、障害者も健常者もみんながみんな、外観コンプレックスや人気取りに捕らわれることなく、もっと自由に好きなものを着て、おしゃれを楽しめる世の中になればいいなと思います。

質問:最後に、読者の方にメッセージをお願いします

私は半袖を着ると明らかに見た目で分かるハンディキャッパーなので、思春期などは正直、半袖を着る夏がうらめしかったりしたものです。でもInstagramやWEARなどで自分のファッションを公開し、共感してくれる素敵な仲間に出会えたことで、「好きなものを好きに着ていいんだ」という力強い肯定感を後押ししてもらうことができて、自分が抱えていた見た目のコンプレックスに打ち勝つ自信を持てるようになりました。

また、障害を負うことや障害者になることは稀かもしれないけど、どんな人間にも人生でそういうことが起きる可能性はあります。私には、腕の障害によって着れない服はそこまでありませんでしたが、それよりも小さな子供を持つ母親になってからは、着たい服を諦めたり取捨選択を迫られる機会が増えたと思っています。でも、子供たちを持ったことを人生においての「障害」だとは決して思いません。オシャレをするうえで何を「障害」と捉えるかは、他人ではなく自分です。自分自身で代用できるもの、挑戦できるものは必ず見つけられると思います。一度しかない人生、せっかくだから私と一緒にオシャレを楽しみながら、歳を重ねませんか?

おわりに

bikkoさん、ありがとうございました!

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