実由さんと服の話

実由さん(脳性麻痺、難治性てんかん、側弯症、10代女子)のお母様に、服の工夫・悩み・おすすめ・こだわりについて聞きました。

2021年3月取材

質問:あなたの基本情報を教えてください

脳性麻痺・難治性てんかん・側弯症の病気があり、障がい種別は、身体障害1種1級・療育手帳A1・重度心身障がい児です。

出生直後に低血糖があり、3日目には黄疸が出て、吸啜力も弱く中々上手に母乳が飲めませんでした。助産婦さんには「赤ちゃんは4〜5日母乳が飲めなくても大丈夫」と言われていたものの、どんどん体重が減っていきました。退院してすぐに桶谷式母乳教室に通い、お口の訓練を始めてから、哺乳瓶で母乳をようやく飲めるようになりました。

生後2ヶ月あたりから、ピクピクといった動きが出始めたり、海老反りになったり、反応が普通の赤ちゃんより鈍かったりしたため、病院で検査をしたところ、脳性麻痺及びてんかんと診断されました。

そこから治療を始めましたが、お薬を飲ませても発作が減らず、1日20回以上の発作が今も続いています。

実由の場合は、脳のあちこちから異常波が出ており手術もできないため、内服治療を続けています。また、成長期真っ只中なので、発作も様々な形で変化中です。

コミュニケーションについては、言葉は喋れませんが、イントネーションで意思表示をしたり、こちらからの問いかけに、「うん、ううん」と返答します。学校の先生や放課後等デイサービスのスタッフさんそれぞれに合わせて、アイコンタクトをしたり相手の手を握る等、臨機応変のバイリンガルです。

食事は全介助で、経鼻チューブでの栄養剤注入とペースト食をお口で食べることを併用しています。お口から食べる事が好きなので、現在口に装具をつけて食べる練習中です。

低緊張とお薬の影響もあり、痰切り、嚥下が上手にできない時は、吸引してます。

てんかんの影響から両足が尖足で、小4の時にアキレス腱の延長手術をして今は短下肢装具を装着しています。

また、側湾症を発症してコルセットを装着中です。

自力での体位変換ができないので、時間をみて体位変換をしてます。お風呂も、きさく工房さんのシャワーエイドに寝かせて洗髪や洗体し、湯船には抱っこで入ります。

実由本人は、自分の思い、例えば「トイレに行きたい、オムツを変えてほしい、何か食べたい、何か飲みたい」というようなことを、誰かに伝えようと声を出しても(言葉ではないため)伝わらない事に不自由を感じていると思います。

また、介助する側の母親として不自由を感じるのは、年々実由が大きくなることに反比例して老いていく自分の体力です。実由を持ち上げる動作や抱っこで移動する動作が段々体力的に大変になってきています。

加えて、障がい児を預かってくれる学童がないために働きに行けなかったり、親の社会参加が難しい事などに不自由さを感じます。

身長は150cmくらいで、普段着ている服のサイズもトップス・ボトムスともに150cmです。シューズは18cmです。

着替えは、お布団に寝かせて全介助で行っています。

質問:お気に入りのトップスアイテムと、その理由を教えてください

ブランドをあまり気にせずにかわいいと思った服を購入していますが、特にJENNI・RICCA RICCA GIRL・SPACE OPERAの服が好きです。

質問:お気に入りのボトムスアイテムと、その理由を教えてください

トップス同様、ブランドをあまり気にせずにかわいいと思った服を購入しており、JENNI・RICCA RICCA GIRL・SPACE OPERAの服が好きです。

その中でも、上写真の左側のチェックのボトムスに関しては、裏起毛素材で暖かくて、かつ履かせやすいウエスト総ゴムのボトムスながら、モタついた感がなくフロント部分もボタンやジッパーがついている風で、スマート見えするので特に気に入っています。

質問:店舗で服を買物する際の工夫を教えてください

店舗によって車椅子が通れる十分なスペースがない場所などは、実由が学校に行っている時間に私が一人で行くか、広いスペースにパパと一緒に待機してもらい、そこに私が何着か持って行って本人に選んでもらうようにしています。

質問:通販で服を買物する際の工夫を教えてください

ネットショッピングだと細かな部分がわからないので、洋服は店舗に行って直接見てから決めます。

質問:服やファッションの情報をどのように収集していますか

主にテレビや、道を歩いている同年代くらいの女の子の服装をみて情報収集してますが、ほとんど、実由自身に決めてもらってます。

質問:服に関することで、何か要望や願望はありますか

子供の細い子用のお洋服があるとすごく助かります。例えば、150cmサイズのボトムス。足の長さはちょうどいいけどウエストが大きすぎたり、レギンスなんかでも、ウエストがブカブカ、足回りもブカブカで、カッコ悪く見えてしまったり。抱っこしたり二人体制で抱き抱える時など、オムツが見えてしまって恥ずかしいので、ボトムスのウエスト部分が長めだと良いなぁとも思います。

他にも、車椅子用のコートや、装具を履いた状態で可愛いく履けるブーツや、サイドにチャックがあるとかで履かせやすいシューズ、フードが取り外し可能なパーカー(子供服って何故フード付きが多いのかと思う)。頭部保持まである車椅子だと、フードが邪魔になってしまうので。

今は沢山のかわいい、カッコいいデザインのお洋服があります。だけど、障がい児用のお洋服は中々見つけることができません。もっと当たり前のようにすぐに買えるような環境になっていってもらえたら嬉しいですね。

例えば、気に入った普通の洋服を障がい児用に仕立て直すことができるサービスとか、私達にもファッションを楽しむ機会をいただけると良いなぁって思います。

質問:最後に、読者の方にメッセージをお願いします

初めまして、実由の母です。この度は、Co-wardrobeさんよりお話しを頂き大変嬉しく感謝します。

実由は小さい頃からお洋服が好きで、お洋服屋さんに行くと、ニコニコ、キャッキャと喜び、毎年着たい洋服が変わって女の子を謳歌中です☺️❣️体が不自由で言葉も喋ることが出来ませんが、目や手、足、声のトーンで一生懸命自分の思いを伝えようとしていていますし、ファッションや持ち物も自分を表現する方法の一つとして楽しんでくれている事に、母としてとても誇らしく感じています。

私は思います。ファッションは障がいあるなし、性別関係なく、、垣根を越えた素晴らしいコミュニケーションツールだと。なぜなら、お洋服や持ち物、ヘアスタイルを通して、可愛いとか、どこで買ったのとか自然と会話が生まれ、仲良くなれるから。

実際に私たちが経験した話ですが、スーパーでお買い物中に、ジーッと実由を見つめてどこかに行ってしまったと思ったらまた戻ってきてジーッと再び実由を見つめる女の子が居たので、「気になるの?」と尋ねたところ、「かわいい服着てるね」って言ってくれて。

私が「ありがとう」と返答すると、その女の子は実由に興味を示して「この子はおしゃべりできる?」「どうして座ってるの?」と聞いてくれて、私が「病気でお話しできないのよ」と伝えると、その子が今度は「早く病気が治っておしゃべりできるようになるといいね」と言ってくれた出来事がありました。

ファッションから実由への興味に繋がってくれて、とっても嬉しかったです。

ファッションは垣根を越える本当に素晴らしいコミュニケーションツールだと私は思っているので、これからも色んなファッションを実由には楽しんでもらいたいです。母はそれをアシストするのみ☺️です。

@pumehana.clubではロゼットなどを、@nursingcare.pumehanaでは、障がい児との日常生活の中であったらいいなを創作しており、私でよければお作りさせていただきますので、お気軽にDM下さい。

おわりに

実由さん、実由さんのお母様、ありがとうございました!

記事の感想や、実由さんのお母様に聞いてみたいことなど、どんなことでも構いませんのでお気軽に、ぜひ下のコメント欄に記入お願いします!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

実由さんと服の話” に対して1件のコメントがあります。

  1. 大野愛唯 より:

    コメント失礼致します。
    この度、卒業論文で「特別な支援が必要な人の日常のファッションについて」という題材を論文にしようと思い、お記事を読ませて頂きました、障碍児保育専攻の大学生です。
    貴重なお話しを拝見するさせて頂きすごく学びになりました。
    お二人でファッションを楽しんでいること、すごく微笑ましいです。
    微量な力ではありますが、社会の価値観の変化につながるような論文を書きたいと思います。
    実由さん、お母様がこれからも楽しくおしゃれに人生を楽しめる事お祈りしています。
    楽しくファッションを楽しめますように…!

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