柿崎万葉さんと服の話

柿崎万葉さん(内部障害(先天性心疾患)、30代女性)に、服の工夫・悩み・おすすめ・こだわりについて聞きました。

2021年3月取材

質問:あなたの基本情報を教えてください

先天性心疾患(心内膜床欠損症/房室中隔欠損症)を持っています。子供の頃に3回開胸手術を受けており、左右の鎖骨の間からみぞおちまで長い手術痕があります。人工弁を入れていて障害者手帳1級も所持しています。

毎日の服薬、主に持久力を要するような運動は控えるようにといった制限があります。感染性心内膜炎という感染症のリスクを避けるため、高校生の時にピアス穴をあけることをドクターストップされた時は切なかったです。

身長は166cmで、普段選ぶ服のサイズは、トップスがMもしくは9号、ボトムスがSもしくは7号です。シューズのサイズは23.5cmもしくは24.0cmです。

服の着脱は、健常者の方と変わりません。

質問:服における悩みや工夫を教えてください

日常生活で服装に制限が出ているわけではないため、特にこれと言ったものはありません。ただし、子供の頃から「太れない」「ガリガリすぎる」というコンプレックスがあり、二十歳前後の頃は細すぎる脚を見るのが嫌でスカートを履けなくなった時期がありました。

また、隔月で大学病院に通院していますが、心電図検査や聴診があるため、通院日には着脱しやすい服を選んだり、ワンピースやタイツやストッキングを避けるようにしています。

最近ではApple Watch 6を購入し、出来るだけ常時付けて不調の際に簡易的でも心電図を取れるようにしています。心拍数も常時測れるように設定しています。

質問:バッグ選びの工夫を教えてください

特に決まったブランドを贔屓にしているわけではありませんが、身体への負担が少ないように合皮の軽いものを選ぶことが多いです。

質問:お気に入りのシューズを教えてください

KiBERA(キビラ)というシューズブランドのモデルをさせていただいており、日常的にも愛用しています。(www.kibera.jp) 

高いヒールのパンプスからぺたんこのスリッポンまで色々なシューズが展開されているので、もしご自身の足に合う方がいらっしゃいましたら嬉しいです。

質問:もう1つ、お気に入りのアイテムを教えてください

BeCroughtさんが製作なさっている「ヘルプマークケース」です。(https://www.creema.jp/c/becrought) 

私は見た目では障害者であることが分からないためヘルプマークを所持していますが、何とかファッションと合わせたいと思っていたところ、BeCroughtさんに出会い、自分用にケースを発注させていただいたり、一緒にコラボ版のケースを考案して販売させていただいたりしています。

BeCroughtさんはご自身もヘルプマークのユーザーでいらっしゃり、「ヘルプマークをおしゃれに持ちたい」という点で意気投合しています。私は、ケースの中に家族や主治医の連絡先を書いたヘルプカードも一緒に入れるようにしています。

ヘルプマークを持ち歩くことで、目にした方に「あのマークは何だろう」と考えていただくきっかけになったり、「世の中には見た目では分からない障害を持っている人がいるんだな」という認知が少しでも広まってくれれば嬉しいです。

質問:店舗で服を買物する際の工夫を教えてください

疲れやすいので、ただぷらぷらと服を見て回るのではなく、事前にある程度欲しいものに当たりをつけておき、ピンポイントで試着・購入するようにしています。

質問:通販で服を買物する際の工夫を教えてください

特にボトムはサイズ感が合わないことが多いので、通販では過去に履いたことがありサイズ感を把握できているブランドからだけ購入するようにしています。

質問:服やファッションの情報をどのように収集していますか

インスタグラマーの方や各ブランド、雑誌等メディアのSNS投稿を見て、良いなと思ったものをチェックするようにしています。ファッション雑誌も買うようにしています(Oggi, Marisol等)。

質問:服に関することで、何か要望や願望はありますか

私自身は病気や障害を理由に服選びに困った経験があまりないのですが、同じような病気の方で胸の傷跡を隠して生活していらっしゃる方はそれなりの数いらっしゃいますし、少なくとも病気や障害の数だけ服に対する困りごとやニーズがあることを知っています。

そういう「思いもよらない困りごと」にこそ、ビジネスチャンスがあるはずと私は信じているので、色々なアパレルメーカーさんやシューズメーカーさん、バッグメーカーさんが色々な困りごとに対してアンテナを高く張ってくれて、困りごとの解決とおしゃれをもっと両立できるような世の中になっていったら嬉しいです。

質問:最後に、読者の方にメッセージをお願いします

わたしは普段会社員をしていますが、30歳を過ぎてから一念発起して、敢えて病名を公表した上でモデルやミセスコンテスト(ミスコンのミセス版)ファイナリストといった、表に出る活動を始めました。

病気や障害があっても、身体に大きな傷跡があっても、そのせいで夢ややりたいことを諦める必要はないと証明するため、また、見た目では分からない病気や障害が世の中に存在することを少しでも広めていきたいと考えているためです。

今モデルをさせていただいているKiBERAのモデルを選出するコンテストに出場した際に「同じような病気を持っていても輝くことが出来る人をもっと増やしたい」とスピーチしてグランプリをいただき、銀座のど真ん中で大きな看板になることが出来ました。

インタビュー冒頭の基本情報のところでピアスがあけられないと書きましたが、イヤリングやイヤーカフをつければ耳のおしゃれは出来ます。目的を見誤りさえしなければ、健常者の方と比べてアプローチや目に見える結果が多少異なったとしても、本当にやりたいことは実現出来ると信じています。

病気のことや活動について色々と投稿していますので、もしよろしければInstagram(www.instagram.com/n081161)をご覧いただけると嬉しいです。

おわりに

柿崎万葉さん、ありがとうございました!

記事の感想や、柿崎万葉さんに聞いてみたいことなど、どんなことでも構いませんのでお気軽に、ぜひ下のコメント欄に記入お願いします!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

柿崎万葉さんと服の話” に対して2件のコメントがあります。

  1. 槙原 より:

    iPhone ウォッチ6 について 血中酸素が測れるとの事ですが 24時間測った物をiPhoneで見たりグラフを印刷したり出来ますか⁇

    1. Mayo Kakizaki より:

      槙原様
      ご質問いただきありがとうございます。
      iPhoneのヘルスアプリ上で日単位、週単位、月単位、年単位でデータを見ることが可能です。
      心電図はPDFにしてメールに添付等出来ますが、血中酸素濃度はそこまでは出来ず、スクショレベルになってしまいます。
      また、血中酸素濃度に関しては測り方がパルスオキシメーターとは異なるため、100%正しいとは言い切れないと思います。
      あくまでも平常時との比較用、参考程度ととらえていただくのが良いかと思います。
      少しでもご参考になれば幸いです。

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